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お酒とマナーのマリアージュ 第18回

お酒とマナーのマリアージュ 第18回

皆さま、こんにちは。お酒とマナーのマリアージュへようこそ。  

最近、飲食店ではタッチパネル注文やセルフレジ、多言語翻訳など、新しい仕組みが増えてきました。AIの活用も広がり、効率よくサービスを提供することが当たり前の時代になっています。  
先日、北海道にある200年以上の歴史を持つ酒蔵を訪れる機会がありました。資料館には、昔ながらの酒造りの道具が展示され、長い歴史と伝統を感じます。一方で、実際の酒造りでは、品質を安定して守るための最新の設備や技術が導入されていました。  
その考え方は、試飲や商品を選ぶ空間にも表れていました。たくさんの種類の日本酒もわかりやすく並び、説明も見やすい。試飲から購入、宅配便の手配までの流れは、とてもスムーズで、迷う場面はありません。  
印象的だったのは、日本人も海外からのお客様も、自然に試飲を楽しみ、お気に入りの一本を選んでいたことです。〜お客様が心地よく過ごせるよう、一つひとつの体験が丁寧にデザインされていた〜 そのことが、深く心に残りました。  
その様子を見ながら、客室乗務員時代のことを思い出しました。以前の機内では、新聞を配り、お飲み物を伺い、映画をご案内するなど、お客様と言葉を交わす機会が数多くありました。  
しかし、機内の個室化や一人ひとりのモニターの普及によって、お客様はそれぞれの時間を楽しむようになり、お客様との接点は以前より少なくなりました。だからこそ、一度の笑顔、一度の言葉掛けが、それまで以上に大切になったのです。  
これは飲食店でも同じではないでしょうか。  

タッチパネルで注文ができるようになると、お客様とスタッフが接する時間は以前より短くなっています。注文や会計がスムーズになることは、お客様にとっても、お店にとっても大きなメリットです。  
だからこそ、限られた接点をどうデザインするか。その積み重ねが、お店の価値になっていきます。
• 料理をお出しするタイミング
• お客様と目が合う瞬間 • 帰り際の「ありがとうございました」  
「お待たせいたしました。今が旬の〇〇でございます」  
「熱いうちにどうぞ」  
「ごゆっくりお楽しみください」  
ほんの数秒のやり取りでも、お客様の目を見て、笑顔を添えて伝えるだけで、その一杯や一皿の印象は大きくかわります。  

AIは、注文を受けたり、多言語で案内したり、おすすめの商品を提案したりすることができます。とても便利で、これからの飲食店にとって、なくてはならない存在になっていくはずです。  
一方で、その日のお客様の表情や声の調子、その場の空気を感じ取り、ふさわしい一言を添えることは、人だからこそできる仕事です。  
前出の酒蔵で見たのは、「技術が人に代わる」のではなく、「人が本当に大切な仕事に集中できるように技術が支える」という考え方でした。  
AIが得意なことは、AIに任せる。その分、人はお客様と向き合い、安心や心地よさを届けることに力を注ぐ。そんな役割分担が、これからはますます大切になっていくのでしょう。  

お客様は、お酒だけを味わいに来るのではありません。  
その時間、その空間、そこで感じた心地良さも含めて、一つの体験として持ち帰っています。AI時代だからこそ、人が届ける価値は、これまで以上に大きくなります。  
一杯のお酒を提供するだけではなく、その先にある体験をデザインすること。  

それが、お客様の「また来たい」という気持ちにつながるのではないでしょうか。

UX:ユーザーエクスペリエンスという考え方
愛甲香織