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データで知る酒類業界の“今” 2026年8月

データで知る酒類業界の“今” 2026年8月

最新の市場データをもとに、消費者の動向やトレンドに注目することで、酒類業界の“今”を追っていきます。今回は、総務省統計局の家計調査をもとに集計された「2026年 第1四半期(1~3月)の収入五分位階級別酒類支出」に着目します。収入の少ない世帯から多い世帯までを5段階に分類した本データからは、所得水準によって酒類への支出額や選ばれるカテゴリーにどのような違いが生じているのかを読み取ることができます。本稿では、収入階級ごとの酒類支出の特徴と、そこから見えてくる今後の市場動向について考察していきます。

今回のテーマは「収入階級別に見た酒類消費支出金額」についてです。

2026年第1四半期の収入五分位階級別1世帯当たり酒類消費支出金額[総世帯]

2026年第1四半期の収入五分位階級別1世帯当たり酒類消費支出金額[総世帯]

“表で見る”収入階級別の消費傾向

1. 収入が高いほど酒類支出額は大きい

最も収入の高い第Ⅴ階級の酒類支出額は12,056円で、最も低い第Ⅰ階級の4,835円の約2.5倍。
平均は8,677円。所得が高いほど酒類に使える可処分所得が増えることから、支出額も比例して増加する傾向が改めて確認された。

2. 唯一伸長したのは中間層の第Ⅲ階級

酒類支出前年比を見ると、第Ⅲ階級のみ116.5%と大きく伸長した。
一方、第Ⅱ階級(90.1%)、第Ⅳ階級(91.3%)、第Ⅴ階級(90.0%)はいずれも前年を下回る結果に。
物価上昇による節約意識が広がる中でも、中間層では飲酒機会や購入意欲が回復している可能性も考えられる。

3. 高所得層ほどビール・プレミアム分野の比重が高い

第Ⅴ階級ではビール支出が3,201円と全階級で最高額となり、ワインも1,335円と高水準。
一方、第Ⅰ階級ではビール1,042円、ワイン375円に留まった。
所得に余裕のある層ほど、単価の高いカテゴリーや品質志向の商品を選択する傾向がうかがえる。

4. 清酒は中間層で大きく伸長

清酒支出は第Ⅲ階級で前年比165.6%と突出して増加。
支出額も平均を大きく上回った。また、第Ⅰ階級でも177.8%と大幅増となり、清酒市場では所得の高低を問わず需要回復の兆しが見られる。

5. 外飲み(飲酒代)は中間層で回復傾向

飲酒代(外食費中)は、第Ⅱ階級で前年比115.3%と大きく増加。
一方で高所得層の第Ⅴ階級は98.7%と微減となっており、外飲み需要の回復は必ずしも高所得層主導ではないことが分かる。

[総括] 若年層や中間所得層の需要回復を取り込むアプローチが課題

「収入が高いほど酒類支出額は大きい」という従来の傾向が維持される一方で、消費の伸びという観点では中間層が市場を牽引している姿が浮かび上がりました。特に第Ⅲ階級では酒類全体の支出が前年比116.5%となり、清酒や外飲み支出の増加が目立っています。今後は、高所得層向けのプレミアム戦略だけでなく、中間所得層の需要回復を取り込む提案が重要に。また、清酒の伸長は業界にとって明るい材料であり、若年層や中間層へのアプローチ次第では需要拡大も期待できます。消費行動の違いを捉えたマーケティングが、今後の成長の鍵となりそうです。

【参考・出典】 日刊醸造産業速報2026年6月12日(第18552号)