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競馬コラム北の国から vol.169

競馬コラム北の国から vol.169

 オークス、ダービーが終了するとすぐに来年のオークス、ダービーへ向けて2歳戦がスタートする。3歳クラシックへ向けたこのサイクルを追っていると、1年の経過が本当に早く感じる。そして2歳戦の最大の楽しみは、新種牡馬がどのような産駒を送り出してくるのかにある。前号で書いたように、種牡馬というのは何が成功するのか、その産駒が走ってみないと判らない。前評判が高くても失敗する種牡馬もいるし、まったく注目されていなかったのに大成功することもある。その難しさが競馬の魅力の一つにもなっている。  
2025年の新種牡馬は史上3頭目の無敗で3冠馬となったコントレイルが、産駒頭数131頭、しかも交配牝馬は超一流揃いだったため圧倒的な存在だと思われていたものの、意外に奥手の産駒が多かったため5月半ば時点での重賞勝ち馬はゴーイントゥスカイ(青葉賞)とコンジェスタス(京都新聞杯)の2頭だけ。一方で、同じディープインパクト産駒ながら初年度産駒が25頭だけしかいなかったワールドプレミアから、ホープフルS、皐月賞を制したロブチェンが誕生した。また受精能力に問題があり108頭の種付けで産駒が38頭だけしか誕生しなかったポエティックフレアが、重賞2勝で皐月賞2着のリアライズシリウス、桜花賞に出走したエレガンスアスクなどを輩出している。  
今年の2歳新種牡馬は36頭。初年度産駒が50頭以上いるのはエフフォーリア(125頭)、チュウワウィザード(120頭)、サリオス(109頭)、ウィルテイクチャージ(88頭)、ホットロッドチャーリー(81頭)、オメガパフューム(78頭)、マカヒキ(61頭)、ステルヴィオ(59頭)、ジャンダルム(55頭)の9頭となっている。  
この中で現役時代の競走成績が断トツなのはエフフォーリアだ。3歳時にダービーこそシャフリヤールに敗れて2着だったものの、皐月賞、天皇賞(秋)、有馬記念を制して、この年の年度代表馬に選出された。天皇賞(秋)ではコントレイル、グランアレグリアを破り、有馬記念も1番人気に応えて快勝した。3歳馬による天皇賞(秋)、有馬記念の連勝はシンボリクリスエスに続いて史上2頭目の快挙だった。古馬になってからは蹄のけが、ゲートでの外傷、レース中の心房細動など不運が重なって勝ち星を伸ばすことができなかったが、その影響もあって種付け料は初年度が300万円、2年目以降も400万円とかなり安く設定された。そのため種付け頭数は初年度から198、202、183頭と常にトップクラスの人気を続けている。父エピファネイアは、競走成績ではエフフォーリアと大差はないが、初年度産駒からデアリングタクト、2年目産駒からエフフォーリアを輩出し、リーディング順位は24年3位、25年5位で、今年は首位も見込める状況にある。種付け料も1500〜1800万円とトップクラスとなっている。種牡馬適性の高かったエピファネイアの代表産駒ということを考えれば、エフフォーリアも父同様の成功を収める可能性は高そうに思える。  
チュウワウィザードはチャンピオンズC、JBCクラシック、川崎記念2回と計4度のGⅠ/JpnⅠを制し、ドバイワールドカップでも3着となった。7歳まで大きな故障なく走り続けて26戦11勝、2着6回、3着6回と、どんなコースでも堅実な成績を残した。ダート活躍馬の中ではクリソベリル、ルヴァンスレーヴ、レモンポップなどと比べると圧倒的な強さを見せたというほどの馬ではなかったが、丈夫にタフに活躍し続けた点が種牡馬としての人気につながっているのだろう。また、キングカメハメハ産駒は種牡馬としてロードカナロア、ルーラーシップ、ドゥラメンテ、リオンディーズ、ダートでもホッコータルマエが成功しており、その血統面での評価も高い。  
サリオスはデビューから3連勝で朝日杯FSを制し、皐月賞、ダービーはコントレイルの2着だったものの、毎日王冠では古馬相手に好タイム勝ち。5歳時にも毎日王冠を1分44秒1のタイムで制した。秋競馬開幕直後の毎日王冠は高速決着になることが多いが、そのレースでスピード能力を存分に示したことへの評価は高い。530キロ以上の巨体でありながら大きな故障がなかったことも魅力となっている。また、ハーツクライ産駒の種牡馬はスワーヴリチャードがすでに成功しており、ドウデュースにも大きな期待がかかっている。サリオスが成功すればハーツクライ系も盤石になってくる。  
種付け頭数がそれほど多くなかった馬の中では、オジュウチョウサン(初年度産駒4頭)が注目される。障害でJ・GⅠを9勝、重賞は計15勝もしている歴史的名ジャンパー。交配した生産者も、産駒を早い時期から障害入りさせることを想定していることだろう。これまで日本には障害種牡馬で成功例はないが、有馬記念でもブラストワンピースから0秒8差9着に健闘したことがあるオジュウチョウサンほどの実績馬なら、障害界を盛り上げてくれるような産駒を次々に送り出してくれるのではないかと期待してしまう。