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シェリー 166 - アルバリサって何?

シェリー 166 - シェリーグラス

 シェリーの産地の畑はアルバリサと呼ばれる石灰質の真っ白な土壌で知られています。雨の降らない夏は、表面がからからに乾いているので、ますます真っ白。照り返しも厳しいので、ブドウの収穫は大変な労働です。そのため、現在は50%ほどが夜間の機械収穫になっています。  
シェリーの産地はスペインの南西の端。イベリア半島の一番南に位置するアンダルシア州の中で、西の端にあるカディス県にあります。  
シェリーの産地は大西洋に向って開けた広々とした地域で、海の近くは海抜ゼロメートル地帯。潟や塩田があります。少し内陸に入ると、なだらかな丘が連なった、緩やかな景色が広がります。シェリーの生産認定地域の最高標高は135mです。  
スペインは平均標高660m。中央部を占めるメセタと言われる広大な高原台地を始めとする高地か山です。平野はほとんどが地中海か大西洋に接する海岸線に沿った細長い部分です。そんな中で目立って大きな緑の地域があります。それがシェリーの産地がすっぽりはまっているグアダルキビール川流域です。  
グアダルキビール川の水源はアンダルシア州東部のカソルラ山脈にあり、マンサニーリャの産地サンルーカル・デ・バラメダで大西洋に流れ込む、全長657kmの大河です。日本の最も長い川、信濃川が367㎞なので、2倍近くあります。アンダルシア州北部を横切って流れているので、かつては古都コルドバ、州都セビーリャを通り、大西洋に出る交通路として使われてきたことで知られていますが、流域に豊かな農業地帯を与えてくれた川でもあります。その流域面積5万7,000㎢はスペイン国土50万6,000㎢の10分の1以上を占めています。ちなみに日本最大の平野、関東平野は1万7,000㎢です。  
なぜこんな大河と平野がここにあるのか、かいつまんで言うと、イベリア半島の中心部を占めるメセタの南の境界線になっているモレナ山脈以南はもともと海でした。つまりアンダルシア州の陸地は存在せず、当然ながらシェリーの産地も海底でした。それが後にアフリカ大陸との間にベティコ山系が隆起し、東部がイベリア半島と繋がったため、モレナ山脈との間にできた内海が、徐々に沈殿物等で埋まって現在のグアダルキビール流域地帯が形成されていきました。  
3700万年前から2400万年前、漸新世の時代、このあたり一帯の海に生息していた微生物である珪藻や放散虫の殻が沈殿し、堆積していきました。この化石の層が現在のシェリー産地の土壌の大きな特徴である真っ白なアルバリサです。  
ヘレスの景色の特徴の一つであるなだらかな丘。その頂上部分は真っ白です。これは、海底が隆起し、さらに押されて盛り上がった頂上部分の表面が浸食され、アルバリサ部分が表面に出てきたものです。そのため、シェリーの産地ではブドウ畑は平地ではなく、標高45m以上が良いとも言われています。というわけでシェリー用のブドウ栽培に適したアルバリサという土壌は大昔の海の微生物の化石でした。  
真っ白なアルバリサの畑でアンダルシアの灼熱の太陽を浴びて育つブドウから造られるシェリーです。じっくり味わってお飲みください。でも、暑い夏はフィノやマンサニーリャを7UPなど炭酸飲料で割ったレブヒートもどうぞ。

明比 淑子 氏