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データで知る酒類業界の“今” 2026年7月

データで知る酒類業界の“今” 2026年7月

最新の市場データをもとに、消費者の動向やトレンドに注目することで、酒類業界の“今”を追っていきます。今回は、OIV(国際ブドウ・ワイン機構)が発表した世界のワイン生産量・消費量データに着目し、世界市場の現状を分析します。ワイン市場では、主要生産国ごとに異なる動きが見られており、世界的なワイン産地でも変化の兆しが広がっています。生産や消費の動向からは、市場環境や消費スタイルが少しずつ変化している様子もうかがえます。本稿では、主要生産国の動向や消費傾向を通して、現在のワイン市場の実態と、今後の展望について読み解いていきます。

世界のワイン生産量・消費量推移(OIV発表)主要国のワイン生産量(100万hl)主要国のワイン消費量(100万hl)

分析①:世界のワイン生産量は“低水準”が継続

✓2025年の世界生産量は約2億2,700万hl

✓前年比0.6%増だが、依然として過去最低水準

 ✓3年連続で低水準が続いている
  回復しているように見えて、実際は厳しい状況が続いている

分析②:異常気象が世界のワイン産地を直撃

✓収穫量に干ばつ・熱波・雹害・降雨不足の影響
特にフランスでは、1957年以来ともいわれる歴史的な低収量となり、名だたるワイン産地が厳しい状況に直面。気候変動がワイン産業の構造そのものを変え始めている。

分析③:消費低迷による“生産調整”

✓消費量も減少傾向

✓各国で在庫調整やブドウ樹の伐採が進行

✓「作れば売れる」時代ではなくなりつつある
プレミアム化、小容量化、低アルコール化など、近年のトレンドに通じる

分析④:イタリアが首位維持、フランスは苦戦

✓イタリア:生産量世界1位を維持

✓フランス:天候要因で生産量大幅減

✓スペイン:安定的推移の生産量だが平均以下

✓アメリカ:消費国として依然最大規模

✓ポルトガルと日本における消費量の底堅い動きに注目

主要国が軒並みマイナス成長となる中、ポルトガルは前年比5.6%増(560万hl)と復調を見せた。また、参考データとして挙げられる日本市場も、前年比6.8%増の330万hlと回復基調。日本ではビールの勢いが強いが、食文化へのさらなるワインの浸透や、プレミアム層・デイリー層それぞれの需要の掘り起こしが期待されている。

[総括] 転換期を迎えたワイン市場、求められる適応力と新価値

世界のワイン市場は現在、大きな転換期を迎えています。異常気象による収穫量の不安定化に加え、消費者の嗜好変化や健康志向の高まりによって、市場は従来の“大量消費型”から“高付加価値型”へとシフトしています。今後は、品質やストーリー性、サステナビリティへの取り組みなどが、より重要な価値となっていくでしょう。また、低アルコール・ノンアルコール分野の拡大や、新たな消費スタイルへの対応も市場成長の鍵となりそうです。各国・各ワイナリーがどのような戦略を打ち出していくのか。ワイン業界は今後、“気候”と“消費者意識”の変化に適応できるかどうかが、大きな分岐点になりそうです。

【参考・出典】 日刊醸造産業速報2026年5月15日(第18532号)