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食あればワインあり、友あればスピリッツあり 2025年8月

食あればワインあり、友あればスピリッツあり 2025年8月

××月××日 巨匠アンティノリのワインを大好きなリストランテ・クロディーノで楽しむ

時々このコラムに登場する、銀座の隠れ家的リストランテ・クロディーノの黒田さんから、アンティノリのメーカーズ・ディナーのお誘いがあった。何度かフィレンツェの本社やエステートに訪問しては、当時の当主であった、ピエロ・アンティノリ侯爵から郷土料理と共にワインを説明してもらいながら楽しんだことを思い出した。彼の後を継いだのが、3人姉妹の長女アルビエラ・アンティノリで、今回来日したのはなんと侯爵の孫であった。1385年から続き、600年もの間、家族経営を貫いている。老舗でありながらそれに甘えることなく1970年代にはスーパータスカンの「ティニャネロ」、「ソライア」を発表し、その実力を世界に知らしめた。そしてトスカーナ州に拘らず、ウンブリア、ピエモンテ、フランチャコルタにも広げ、多彩なワインを造り出している。挨拶や説明よりも、美味しいワインとお料理を楽しんでもらいたいとの主宰者の意向もあり、早速ペアリングの楽しい時間が始まった。最初に出されたのが、マルケーゼ・アンティノリ・ブランド・ブラン。1999年からフランチャコルタに参入し、シャルドネ、ピノ・ブランを原料に24ヶ月の瓶内熟成。やはり、その味わいにコクがあり、胃袋が料理を受け入れる準備ができた。白はシャルドネとグレケットのチェルヴァオ・デラ・サラ2021とシャルドネ100%のニッビオ・デラ・サラ2020。トスカーナ州の隣、ウンブリア州オルビエートからのワインである。合わせた料理はタリオリーニの冷製、帆立のタルタルとボッタルガとイクラが、麺が見えなくなるほどかかっていた。樽熟した白ワインとの相性は言うまでもない。続いてラルドで巻いた鶉のテリーヌ。鶉の優しい味わいが口中に広がり、樽で熟成されたシャルドネとの相性が何とも言えない綺麗な一品であった。真っ赤なビーツのリゾットに蝦夷鹿のサルシッチャと猪のラグーが添えられたラザニェッテ。合わせたワインはアンティノリの実力と言えるティニャネロ2021と、ボルゲリで良い年にのみリリースされる、カベルネ・フラン100%マタロッキオ2019。仔羊背肉のラケに合わせた。トマトのピュレが最高でした。言葉では言い表せないほどの幸せな時間でキャンティ地方を旅しているようであった。
〈クロディーノ〉 東京都中央区銀座3丁目4-17

××月××日	巨匠アンティノリのワインを大好きなリストランテ・クロディーノで楽しむ

××月××日 少し早いが、鰻三昧

このコラムが皆様のお手元に届くころには丁度鰻の季節になっていますね。最近は海外のお客様にも喜ばれる、鰻料理です。ドイツのお客様をお連れし、1866年創業の銀座の老舗「竹葉亭本店」に伺った。折角なので日本のワインと合わせたいと思い、こちらで用意したワインを持ち込ませていただいた。伺ったのが5月だったので、前菜には「ちまき」がでてきた。とりあえず端午の節句にいただくことを説明し、幾つかの前菜と共に味わったのが、山梨キザンワインの甲州。キザンのポートフォリオ的ワインである。甲州が大好きな山梨の造り手の一人であろう。そして、ワインの特徴を象徴するような優しいラベルデザインは造り手のこころが表れているように感じます。そんな思いを巡らしているうちに、白焼きが登場。何ともこのワインに良く合う。甲州の味わいにある苦み成分をここまで心地よく飲ませてくれる醸造の技術に驚かされる。そして、かば焼きに合わせたのは北海道十勝の芽室町に数年前に創立したばかりのめむろワイナリーの初醸造、AVVERARE~かなえる山幸2020。4年が過ぎ「山幸」の角が取れ、そのコクと調和のとれた味わいにうっとりしました。かば焼きにぴったり。80年の歴史を持つ山梨の老舗とまだ産声を上げたばかりの北海道のワイナリーに思いをはせながら、今年も素晴らしいヴィンテージになることを祈り、大好きな鰻を食べつくしました。
〈竹葉亭本店〉 東京都中央区銀座8丁目14番7号

××月××日	少し早いが、鰻三昧
田辺由美 プロフィール (JSA認定 シニア・ワインアドバイザー)