食あればワインあり、友あればスピリッツあり 2025年7月

××月××日 ミシュラン三ツ星、連続15年の日本料理かんだに酔いしれる
海外からのお客様が東京で一度は訪れたいお店の筆頭に上がるのが神田裕行の「日本料理かんだ」です。料理の味わいはもとより、日本酒とワインの品揃えも素晴らしく、神田氏が直接選び、お客様に進めてくださいます。そのお店が、元麻布から六本木ヒルズレジデンシャルタワーに移転して早くも3年が経った。内装を手掛けたのは建築家の杉本博司氏。春日杉のカウンターと伝正倉院伝来、菱形天平古材の床柱がお客を迎えてくれる。 さて、本日の料理は河豚白子のムースに分葱とキャビアから始まった。そして旬の蟹と蟹味噌の抜群な組み合わせと、次の料理が楽しみになるスタート。筍と菜の花のお椀が出ると、河豚の唐揚げ、カワハギの刺身に肝、ステーキ、最後はとろりとした赤身の漬け、勿論横には土鍋で炊き立ての白米。書ききれない素晴らしい料理の数は11品。どれも心に残るしっかりとした味わいで、素材を生かし、且つ神田氏ならではの見事な料理でした。合わせたワインはグロ・フレール・エ・スール シュマン・デ・モワンヌ・ド・ヴェルジ2020とモンジャール ミュニュレ ジュヴレ シャンベルタン2015。どちらもヴォーヌ・ロマネを代表するドメーヌ。滑らかでありながらも、ボディーをしっかりと感じさせるワインで、神田氏の料理との相性は言うまでもない。心にしみる料理とワインの饗宴でした。

××月××日 1970年ヴィンテージのシャトー・ラグランジェとマグロ
珍しいワインを飲もうと、親しい友3名が集まった。私が持参したのはシャトー・ラグランジェ1970とサントリー・シャトーリオン貴腐ワイン1983。共に飲めなくなっているのではと心配しながらの持参であった。何故かというと、シャトー・ラグランジェは「ショルダー」、すなわち肩までワインの水位が落ちていて、貴腐ワインは色が琥珀色を超えて「真っ黒」。 さて恐る恐る開けてみると、なんとどちらも素晴らしい熟成であった。最初のハムやサーモン・ジュレに合わせてシャンパーニュとクロ・ブ―ジョの隣に1.2ヘクタールほどある小さな畑で造られる珍しい白のクロ・ブラン・ド・ブージョ。そして素晴らしいマグロの刺身が出てきた。お正月のセリですっかり有名になったマグロ専門の仲卸から仕入れている寿司屋が用意してくれた。合わせたのは1970年シャトー・ラグランジェ。ボルドーの熟成によってキノコやたばこ、トリフの香りを感じ、口中ではそのフレーバーが一堂に重なり合い、柔らかになったタンニンによって滑らかさと長い余韻を醸し出してくれた。まずはマグロの大トロから、そして中トロ、赤身の漬けと進んでいった。ワインと最上級のマグロが口中でダンスをしているようであった。もう一つの珍しいワインは、樹齢300年を超えるオークから造られた樽で熟成させた、シャトー・ラグランジェであった。黒いエチケットで初めての経験をさせてもらった。素晴らしいソムリエによってワインは息を吹き返してくれた。ソムリエに脱帽です。

