食あればワインあり、友あればスピリッツあり 2025年5月

××月××日 油切れの良い関西風天麩羅とナパ・ヴァレー甲州
第12回となったサクラアワードの受賞ワインから色々学ぶものがありました。今年力を入れた、料理とのペアリングでは、多くの審査員が天麩羅とすき焼きにワインがよく合うと思ってくれました。特に天麩羅にはスパークリング、香り豊かな白、やや甘口の白、そしてロゼと幅広いジャンルのワインが選ばれました。そして、私がこの業界に入るきっかけとなった会社の古い仲間と一緒に銀座の天麩羅一宝に伺う機会を得ました。
創業は嘉永三年(1850年)、大阪で油屋を営んでいた初代が副業で創業したのがはじまり。伝統の技と最高のおもてなしを守る150年の歴史を持つ大阪最古の天麩羅店が銀座にお店を構えました。関東はごま油で揚げるのに対し、代々受け継がれている、軽く、油切れのよい衣を信条に、紅花油だけを使い、素材の香りや味を生かした関西風のあっさりとした天麩羅が特徴です。
先ずは車エビ、カラッとあっさりとした衣でこれにはお塩をつけて頂きます。次は海老を紫蘇の葉で巻いた香りの良い揚げ方。キスは天つゆで頂くのですが、これまた色が薄くお出汁の味が効いた上品なこと。この品のある天麩羅に合わせたのが、ナパ・ヴァレー甲州2023。日系のジャック坂崎氏と娘さんのかずみさんが手掛ける甲州ワインです。ナパ・ヴァレーの冷涼な場所を選んで甲州を栽培し、綺麗な仕上がりとなったワインは、柑橘系の香りと白桃の香り、そして辛口にもかかわらず、蜂蜜のような風味が口中に広がる素晴らしいクオリティーです。日本の品種がナパ・ヴァレーで花開いた逸品です。樹齢の若さを考えると、これからの発展が楽しみなワインです。柔らかな味わいと強すぎない酸味が関西風の上品な天麩羅との相性を更にアップさせてくれました。
天麩羅の歴史とワインの歴史の考え深いひと時でした。
〈一宝東京店〉 〒104-0061 東京都中央区銀座6丁目8-7 交詢ビルディング 5階

××月××日 幻の十勝ブランデーを飲み干す
いつの日だったろうか、あまりにも素晴らしい十勝ワインを蒸溜したブランデーが手に入ったので、行きつけのワインバーに預け、時々楽しんだが、しばらくそのままになっていたボトルが残っていた。大切に保管されていた木箱の裏側にこの幻のブランデーの説明があった。 「十勝ワインのブランデー造りは1964年から始まりました。冷涼で気温差の大きい北海道で育てられたぶどうは酸味が豊かでブランデーの原料として最適であったことに注目したのです。長い歳月を経て、原酒は樽の中でゆっくりと熟成され、豊かな香りと豊潤でマイルドな味わいをみにつけ、他の追随をゆるさない最高品質のブランデーとなりました」。 まさに極寒の地でワインとブランデーを育んだ、十勝の宝物。最後の一滴までいただきました。

