競馬コラム北の国から vol.155

地方競馬では4月から2歳新馬戦がスタートしている。JRAでも日本ダービーの翌週から来年のクラシックへ向けた戦いが始まる。今年の2歳戦で最も注目されているのは、あのコントレイルの初年度産駒がデビューすることだ。
JRA史上、3冠馬はセントライト、シンザン、ミスターシービー、シンボリルドルフ、ナリタブライアン、ディープインパクト、オルフェーヴル、そしてコントレイルと8頭しかいない。無敗のまま3冠馬となったのはシンボリルドルフ、ディープインパクトに続いて3頭目という快挙だった。シンボリルドルフはトウカイテイオーという名馬を誕生させ、ディープインパクトの種牡馬実績はいまさら振り返るまでもないが、その代表産駒がコントレイルである。日本の競馬史に大きな変革をもたらしたサンデーサイレンスの代表産駒がディープインパクトで、そのディープインパクトの代表産駒がコントレイルなのだから、コントレイル産駒に期待をしない方がおかしいというものだ。
コントレイルの初年度種付け頭数は193頭で、このうち130頭の産駒が誕生している。3月15日時点でJRAに登録されている産駒はすでに70頭に及んでいる。おそらく130頭の大半はJRAデビューすることになるだろう。初年度の2022年種付け料は1200万円と高額だっただけに交配牝馬も超一流の繁殖牝馬ばかりだったが、それが24年には1500万円、25年には1800万円と産駒がデビューする前からさらに急激な値上がりをしている。通常は初年度の種付け料は目新しさがあるため高めに設定され、産駒デビュー前の2〜3年は価格が下落するものだが、コントレイルにはまったく逆の現象が見られる。これは生まれたばかりの産駒の出来の良さが評判になっている証拠だと言える。
実際に、セレクトセールでは23年当歳が売却20頭で平均価格1億2860万円、24年1歳は8頭で平均1億2437万5千円、当歳は25頭で平均9976万円。上場された計53頭はすべて売却されている。このうち23年当歳の「コンヴィクションⅡの2023」(牡)はこの年のセール最高価格となる5億2千万円で取引されたのをはじめ、「バイバイベイビーの2023」(牡)3億3千万円、「シーズアタイガーの2023」(牝)2億8千万円、24年は「ラビットランの2023」(牡)と「カルティカの2023」(牡)が2億5千万円、「カレドニアロードの2024」(牡)3億円、「ブリリアントカットの2024」(牡)2億5千万円、「ジョイニキータの2024」(牡)2億2千万円など超高額落札馬が相次いでいる。
ディープインパクトの後継種牡馬としては、キズナが24年リーディングサイアーに輝く大活躍を見せている。キズナ自身も4歳時は500キロを超える馬体重で出走していたが、産駒も大型馬が多いためダートでの活躍も目立っている。今春からは代表産駒のジャスティンミラノが種牡馬入りしているが、同馬も500キロを超える大型馬だ。フォーエバーヤングを送り出して一躍注目されているリアルスティールも現役時代は500キロ前後で走っていたし、フォーエバーヤングに至っては540キロ台の巨体を有している。キズナ〜ジャスティンミラノ、リアルスティール〜フォーエバーヤングと、ディープインパクト系の後継が枝葉を広げていくことが確実なのは嬉しいことだが、430〜440キロ台で強烈な切れ味を見せてきたディープインパクトの印象とはあまりにも違う点は、ディープインパクトのファンとしてはやや物足りなさも感じてしまっていた。
だがコントレイルは父ほど小柄ではなかったものの、450キロ台でレースを走っていた。これまでセールに出てきている産駒もコンパクトにまとまっている印象がある。最もディープインパクトの特徴を強く受け継いでいる種牡馬とも言えるのではないだろうか。祖父同様の強烈な末脚で魅せる馬が多く誕生してくることが期待できる。サンデーサイレンスの血を継いでいく後継種牡馬としては、ハーツクライ系はジャスタウェイ、スワーヴリチャード、ドウデュース、ブラックタイド系はキタサンブラック〜イクイノックス、ステイゴールド系はオルフェーヴル、ゴールドシップ、ゴールドアリュール系はエスポワールシチー、スマートファルコン、コパノリッキー、ゴールドドリーム、クリソベリル、ダイワメジャー系はアドマイヤマーズ、セリフォスなどがいる。特にハーツクライ系、ブラックタイド系、ゴールドアリュール系は「あと半世紀は安泰では」と思わせる大物後継がいる。ディープインパクト系もキズナ、リアルスティールのラインは当面、安泰だと思われるが、やはり王道としてコントレイルのラインが今後100年は繁栄を続けていくことを期待したい。
コントレイル以外の2歳新種牡馬としては、クリソベリル(父ゴールドアリュール=初年度産駒112頭)、ダノンスマッシュ(父ロードカナロア=106頭)、ダノンプレミアム(父ディープインパクト=94頭)、ミスチヴィアスアレックス(父イントゥミスチーフ=89頭)、マテラスカイ(父スペイツタウン=83頭)、ベンバトル(父ドバウィ=74頭)、インディチャンプ(父ステイゴールド=67頭)、フィレンツェファイア(父ポセイドンズウォリアー=62頭)、ヴァンゴッホ(父アメリカンファラオ=58頭)に50頭以上の産駒がいる。特にクリソベリルは現役時代に540キロ台の巨体だっただけに、地方の深いダートコースで産駒が大活躍することが予想される。