シェリー 151 - 白に緑の縞模様

風薫る5月になりました。新緑が美しい季節です。「風薫る」は若葉の香りが風に乗って漂ってくるということで、初夏の季語になっています。
シェリーの産地も5月はブドウの若葉がきれいな季節です。ブドウの樹は、収穫が終わると紅葉し、葉が散り、眠りに入ります。剪定は樹が眠っている冬の間に行われます。暖かくなってくると樹は目覚め、樹液が周り始め、芽が出て、若葉が出てきます。5月はちょうど成長期に入る頃と言えるでしょう。
シェリー造りに使われるブドウの95%以上がパロミノという白品種です。辛口シェリーは全てパロミノで出来ています。この品種を栽培するのに最適なのが白い土、アルバリサです。
この地域は漸新世(3700万年前から2400万年前まで)には海の底でした。その時代に生息していた珪藻や放散虫の殻が沈殿し、堆積した層が隆起したのがアルバリサです。石灰質の土壌でスポンジのように水分を吸収して、地中に保存しておけるのが大きな特性です。
シェリーの生産地域はなだらかな丘が連なる地形で、海抜は高くて130mを超える程度です。アルバリサの土壌を持つブドウ畑は丘の上の部分にあります。
冬は雨期なのでアルバリサは水分を含んでグレーな色をしています。そこに背の低い枯れた(ように見えますが生きています)樹が並んでいるので、寂しい景色です。けれども春になると一変します。新緑の季節。もう雨は降らないのでアルバリサはまばゆいばかり真っ白になっています。そこにきれいに並んだパロミノの樹は生き生きした若葉を元気に伸ばしています。遠くから見るとまさに緑の縞模様です。
きれいな縞模様に見えるのは、畑に新たにブドウの樹を植えるとき、きっちりラインを引いて、植える位置をマーキングしているからです。
かつて畑の仕事が全て手作業だった時代、樹と樹の間は1.50m×1.50mの等間隔でした。けれどもトラクターが使われるようになると、通路を確保するべく拡張し、樹の間隔を少し狭くしました。それが現在の様式で、1.15m×2.30mです。
さらに、並んで植わっているだけでなく、きちんと整列して伸びるように、ガイドとして支柱に針金が張ってあります。枝が伸びてくると、それを針金に誘導して止めます。そのため、遠目には乱れることなく一直線の緑のラインとなって見えるのです。バックが真っ白なアルバリサだけに、真っ青な空のもと、緑の縞模様の美しさが引き立ちます。
緑の縞模様に変わりはありませんが、畑の中では少しずつ変化が起きています。それは機械収穫が取り入れられるようになっているからです。今度は樹の高さです。機械の高さに合わせて、針金のラインが上に上げられています。
文明の利器の導入と共に、少しずつ変化してきている畑ですが、アルバリサとパロミノの共存は続きます。
風薫る5月。ヘレスでは1週間フラメンコと馬とシェリーで盛り上がる「馬祭り」を皮切りに、よ〜く冷えたフィノが飛ぶように売れる季節が始まります。
