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お酒とマナーのマリアージュ 第11回

お酒とマナーのマリアージュ 第11回

 皆さま、こんにちは。お酒とマナーのマリアージュへようこそ。

2月は“季節の変わり目”を感じる月  
2月は、冬の寒さが残りつつ、ふとした瞬間に春の兆しを感じる季節です。日差しの明るさ、梅のつぼみ、ほんのり柔らかな風。お客様との会話にも「春が近いですね」ということばが自然に出るようになります。今月は、この“季節の変わり目”をていねいに扱うおもてなしがポイントです。  
日本人は、どうしてこんなにも“春”に心が動くのでしょうか。春は、日本では“始まりの季節”。梅や山菜、草木の芽吹きなど、自然の変化を感じやすく、人生の節目も多いことから、春=希望という感覚が、私たちの心に静かに根づいているのかもしれません。

節分と立春―一年の区切りとしての意味  
節分は、暦(24節気)で見ると「立春=春のはじまり」の前の日にあたります。昔の暦では立春が「一年の始まり」とされていたため、節分は、一年の締めくくり(大晦日)のような役割でした。現在は1月1日が新年ですが、暦の上では、今も立春が「春のスタート」として大切にされています。  
もともと、節分は一年に4回ありましたが、日本では、春の始まりが、最も重要な節目と考えられたため、立春前日だけが行事として残ったと言われています。  
豆まきのルーツは、奈良〜平安時代の宮中行事「追儺(ついな)」。季節の変わり目の不調を鬼に見立てて、追い払い、福を呼び込む儀式が、現代に受け継がれています。お客様とは、こんな一言が話題のきっかけになります。
「節分って、昔は大晦日だったらしいですよ」
「豆まきの鬼は、嫌なこと全部追い出す意味らしいです。全部、払いましょう!」

翌日の立春は暦の上で、春のスタート  
この日にあわせて搾られる日本酒「立春朝搾り」は、夜明け前に仕上げ、その日のうちに届けられる特別な一本。香りは軽やかで、やわらかな味わい。春を告げるお酒として人気があります。
「春らしい香りのするお酒が入りましたよ」
「今日は立春なので、軽やかな一杯をご用意しています」  
大切なのは“選んだ理由”と“季節への感度”を添えてお客様に手渡すこと。難しい言葉よりも、ちょっとした一言が心に残ります。

アジアの春を迎える新年―春節(旧正月)  
春節は、中国・台湾をはじめ、韓国や東南アジアでも祝われる旧暦のお正月。“春を迎える大きな節目”として、今もとても大切にされています。家を清めて厄を払い、赤い飾りで福を呼び込みます。家族が一斉に集う…。冬をおさめ、春を迎えるという考え方は、日本の節分・立春ともよく似ています。2月になると、日本でもお店や料理店などで、派手な赤い飾りを目にしたことがあるかと思います。

寒い時期の温度のおもてなし   
2月は冷え込みが続く季節でもあるため、“温度のおもてなし”がとても喜ばれます。
「寒い中ありがとうございます。温かいドリンクはいかがですか?」 「お部屋の温度大丈夫ですか?寒かったらおっしゃってくださいね。」  
湯気や香り、器の暖かさは、それだけで安心感を生み、お客様の気持ちをほぐします。冬から春へと向かう、ほっとする一杯を提供することも2月ならではのおもてなしです。  
お見送りで、「まだ冷えますので、あたたかくしてお帰りください」と一言添える。ささやかな動作や心配りが、「季節を大切にするお店」という印象を確実に残します。

やさしい英語で伝わる季節のおもてなし  
春節の休暇にあわせて、海外からのお客様も増えます。簡単な英語で季節を伝えるだけで、歓迎の気持ちが伝わります。
Spring is coming soon. Please enjoy a warm drink.
春がもうすぐですね。

This is a light and fresh sake for early spring.
春にふさわしい軽めのお酒です。

We have warm tea and ginger drinks.
温かいお茶、ジンジャーの飲み物もあります。  

季節をていねいに扱うこと。それが2月のおもてなしのいちばんのマナーなのかもしれません。  
どうぞ、春を迎える準備がやさしく進む一ヶ月になりますように。来月もお楽しみに。

【 豆知識 】 2月如月の意味
2月の別名「如月きさらぎ」は、衣をさらに重ね着するほど寒い=衣更着が語源という説があります。また、春の気が更に来る=気更来とも言われ、冬と春が同居する2月らしい名前です。

愛甲香織