酒と思索の迷宮『いつもの宵の、酔い語り』第63夜

冷蔵庫と「マーフィーの法則」
物事には、そうなっては欲しくない!という事象が必ずある。
その昔、1990年代だったか「マーフィーの法則」という、嘘かまことか全く不明の、パロディともジョークともつかない法則がかなり流行った。
私の理解では「バターを塗ったトーストは多くの場合、バター面を下にして落ちる!」。つまり、AとBでは必ずなっては欲しくない方に転ぶ確率が高いという理解で、物事が良くない方に転ぶと「あぁ、マーフィーの法則か!」と思ってきた。
で、本題。我が家の“中国製”の冷蔵庫が壊れた。それは最初は氷の出来がかなり遅い!という不具合から始まった。ま、その程度ならば、足りない氷はスーパーやコンビニで買ってこの夏を凌いで、秋になれば自然に復活するだろうという、私とカミさんの読みの甘さがデジタル全盛の今日、石器時代同然の不便さが我が家を見舞う元となってしまったのだ。
私的には冷蔵庫を「騙し、騙し使う!」という選択をしたわけだが、7月某日。気温35度を超えた猛暑日に冷凍庫が一気に冷凍不全に陥り、中身は最大限に冷蔵庫に移し、直ちにメーカーの修理部門に連絡。結果、修理見積りに訪問するまでが4日。そこから本修理まではさらに1週間を要するという。そしてこの所の猛暑日に冷凍庫なしではきついなと思う間もなく、この日、さらに冷蔵庫まで活動停止してしまった。この事態に私の脳も活動停止状態である。
よりによって現代家庭の食の大黒柱、冷蔵庫が猛暑日続きのこの時期に使用不能になるとは。直ちに修理見積りをキャンセル。買い換えに方向転換したのだが代替えの新冷蔵庫の納品は1週間先。マーフィー氏は特大の打撃を我が家に見舞ったのだった。
私の子供の頃、我が家の冷蔵庫は木製で、庫内には1貫氷(3.75㎏)を入れて冷やしていた。多分、氷は氷屋が毎日配達に来ていたと思うのだが、その配達スパンは定かではない。私はこれを思い出してドライアイス2㎏を調達して庫内に安置。結果、冷えはまずまず辛うじて実用レベル。
しかし1㎏¥700のドライアイスが2㎏使用して半日弱しか持たないとなると、コストパフォーマンスは最悪である。しかも氷は使用できない。
で、ここから我が家のキャンプ生活同然の食が展開されたのである。魚屋で貰った大きめの発泡スチロール箱と釣り用のクーラーボックスに氷を1㎏づつ入れて、買い物は毎日。しかもその日食べる分だけしか買えない。あれも欲しい、これも欲しいは全て断念。ストレスまみれの生活が展開したのである。
「冷蔵庫は夏に壊れる!」という私的法則が確立したかなと思いつつ、悔し紛れに30年も前に流行った「マーフィーの法則」を改めて調べてみた。
すると私は、この法則の肝の部分を理解していなかったことに気付いた。そして私のいかにも底辺人的発想を恥じる結果となったのだ。
正しくは「バターを塗ったトーストが床に落ちると、バターを塗った面が絨毯に落ちる確率は、その絨毯の値段に比例する。」のだそうで、私は単に落ちたパンが惜しいと思っていたのだが、マーフィー氏は絨毯が高ければ高いほどバターで絨毯が汚れる確率が高くなる。と、パンではなく、絨毯を心配する法則を述べていたのだった。この法則を適用するのであれば、我が家の絨毯などはホームセンターの特売品だから、パンのバター面が下になる確率はかなり低いのであります。
しかし、それでも冷蔵庫は壊れた。この冷蔵庫を買った時の量販店の店員の「今時は日本メーカーの製品も全て中国製です。だから中国メーカーの製品もお試しになったらいかがでしょうか」。この言葉に応じた自分が情けなかった。
一度、冷蔵庫の平均寿命を調べて「夏に壊れる確率」をテーマに、法則を1つ確立したくなった!