シェリー 165 - シェリーグラス

シェリー樽熟成のウイスキー、ご存じのことと思います。オロロソ樽が一番多いようですが、フィノやマンサニーリャ、ペドロ・ヒメネスの樽も使われています。
今、シェリー樽の需要がどんどん拡大。最大の市場は、もちろん当然と言ってもいいですが、スコッチ・ウイスキーの産地、英国です。シェリー原産地呼称統制委員会発表の2025年の統計では認定シェリー樽総出荷量の39%を占めています。日本は7.3%ですが、2位!
ウイスキーの熟成には主にバーボン樽が使用されていますが、やはり一目置かれるのがシェリー樽です。
シェリーと樽は切っても切れない仲です。シェリーの産地では既に15世紀に樽職人のギルドが出来ていました。シェリーはコロンブスの新大陸への航海にも、マゼランの世界一周の旅にも、大量に積まれていきました。容器はもちろん樽です。当時、ワインは長い航海中の食料の一部でもありました。1587年、そんなシェリーを山ほど積んだスペインの無敵艦隊を襲ったのが、スペインでは海賊と呼ばれるフランシス・ドレイクです。彼が略奪した3000樽のシェリーをロンドンに持ち帰ったことから、シェリーは宮廷で大人気を博しました。そのためかどうかは分かりませんが、彼にはサーの称号が与えられています。
そんな時代から現在に至るまで、英国はシェリーの最大のお得意さまです。1707年、イングランドはスコットランドを併合し、ウイスキーに対する課税を厳しくしました。これに反発したスコットランド人たちは山奥に籠ってウイスキーを密造するようになりました。このとき、隠すために使われたのが空になったシェリー樽でした。当時、シェリーは樽で英国に届き、ボトリングされ、発売されていたので、無用の空樽が余っていました。これがウイスキーに素晴らしい効果を生みだしたのです。そのため、1823年に酒税法が改正され税率が引き下げられると、シェリー樽熟成のウイスキーは公然と出回るようになり、輸入されたシェリーをボトリングする業者はウイスキー・メーカーと空樽売買契約を結んだりするようにまでなりました。一方シェリーは原産地以外で造られた類似品が世界各地でシェリーと称して出回っている状況に苦慮していました。これに終止符を打ったのが、“シェリーと名乗る製品は原産地呼称認定地域内でボトリングされなければならない”という規定です。つまりシェリーは樽で輸出されないので、英国にシェリーの空樽はなくなるということです。
けれどもシェリー樽熟成のウイスキーの風味は格別です。これを確保するために、ウイスキー・メーカーは自分で樽を調達し、シェリーのメーカーに樽のシーズニングを依頼するというスタイルを確立していきました。
ところが、ここにも似非シェリー樽が登場。シェリーの原産地呼称統制委員会は2015年、ウイスキーがシェリー樽熟成と名乗るための樽のシーズニング条件を制定しました。そのため、現在はウイスキーでラベルにシェリー・カスクと表記できるのは、統制委員会が発行した認証シールを貼った樽を使ったものだけになっています。
ウイスキーを飲むならぜひシェリー樽熟成を!そして、そのもとのシェリーも合わせてお楽しみください。
