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お酒とマナーのマリアージュ 第6回

お酒とマナーのマリアージュ 第6回

皆さま、こんにちは。お酒とマナーのマリアージュへようこそ。  
暑さがやわらぎ、風に秋の気配を感じるようになりました。9月といえば「お月見」や「十五夜」。まだ日中は暑さが残っていますが、夜になると涼しい風が吹き、ふと、空を見上げたくなる季節です。  
今回は、そんな秋の気配をお酒の時間に取り入れる、ちょっとした工夫をご紹介します。

〈秋のお酒にあわせたサービスの工夫〉  
秋になると、季節にあわせてお酒の種類や味わいも少しずつ変わってきます。冷やおろしの日本酒、熟成の白ワイン、まろやか赤ワインなど、香りや余韻を楽しむお酒が好まれる時期です。  
こうしたお酒を、より美味しく感じていただくには、グラスや器の素材、温度の調整、声かけのタイミングなど、サービス側のちょっとした工夫が役立ちます。  
たとえば、お酒の香りを引き立てるグラスを使ってみたり、少しずつゆっくり注いだり、「肌寒くなってきましたね、温かめのお酒でいかがでしょう。」の一言を添えたり。そんな些細なやりとりが、季節感のあるおもてなしとして、お客さまの記憶に残ります。

〈秋って、なぜ、特別に感じるのでしょう?〉  
「食欲の秋」「芸術の秋」「読書の秋」  
秋には何かと“〇〇”の秋と言う表現が多く登場します。これは、気温がちょうどよくなり、自然と心にも余裕が生まれるからかもしれません。ゆったり時間を過ごしたくなる、そんな気分に寄り添える接客が求められる時期でもあります。  
もちろん、お店によって雰囲気やスタイルは様々です。静かに過ごしたい方は落ち着いたペースで、にぎやかに楽しみたい方にはテンポよく、“秋らしさ”をどう取り入れるかは各店の工夫どころです。

〈お月見文化とサービス〉  
9月といえば、やはり「お月見」。夜空を見上げながら一杯、そんな情景にピッタリなのが、秋のお酒です。  
「月見酒」という言葉があるように、昔から日本には“景色を楽しみながら、お酒を味わう”という風習があります。こうした文化は、海外からのお客さまにもとても喜ばれます。「日本には月を見ながらお酒を飲む風習があるんですよ」と一言添えるだけで、会話が広がります。  
文化を伝える接客として、ちょっとしたエピソードは大きな力になります。

【小ネタ】 月見酒という風習  
「月見酒」とは、9月の名月を愛でながら楽しむお酒のこと。 桜の「花見酒」、冬の「雪見酒」と並び、季節を愛する日本の風習のひとつです。俳句の世界でもよく詠まれ、「月を肴に一献」などという粋な表現もあります。  
乗務員時代、今でも心に残っている夜があります。中秋の名月を目前にした深夜のフライト、機内の窓から月をじっと見つめていたお客さまに、日本酒をおすすめしたところ、「お月さまに乾杯だね」と笑顔で応えてくださいました。その笑顔が月の光と重なって、忘れられない思い出になっています。  
こんなふうに季節を楽しむ日本の文化って、やっぱりいいなと感じた出来事でした。

〈和らぎ水という、さりげない心配り〉  
そして、秋の夜長にお酒を楽しむ際に、もうひとつ大切にしたいのが「和らぎ水」です。日本酒と一緒にいただくお水のことで、飲み過ぎ防止や二日酔いの軽減につながります。  
アルコールが肝臓で分解される過程で発生するアセトアルデヒドという有害物質。これが体内に残ることで頭痛や吐き気の原因になるとされています。こまめに水分をとることで排出を促すことができます。  
「お口を和らげるお水もどうぞ」とそっと添えるだけで、体調への気遣いが伝わります。和らぎ水は、お酒の香味をリセットし、次の一杯をより美味しく感じさせるという役割もあります。もちろん、日本酒に限らず、どんなお酒にも使える大切な心配りです。  
季節の変わり目は、お客さまの体調や気分にも変化が出やすい時期です。そんなときこそ、一杯のお酒が、ほっとする時間や心に残るひと時につながることもあります。  
9月、秋の始まりにふさわしい一杯が、お客さまにとって、心地よいひと時になりますように。  
では、また次回をお楽しみに。

愛甲香織