土地が、ウイスキーをつくる。一滴に宿る、アイラ島のテロワール

復興から25年の時を刻んだ ブルックラディ蒸溜所
スコットランド・アイラ島。 世界中のウイスキーファンが憧れるこの島には、数多くの蒸溜所が点在しています。しかし、その中でもブルックラディは少し異なる存在です。多くの蒸溜所が「樽」や「熟成年数」を語る一方で、ブルックラディが最も大切にしているのは“畑”。現代のブルックラディは「良いウイスキーは、良い大麦から生まれる」という哲学を掲げ、 土地ごとの個性を映し出す"テロワール"をウイスキー造りに取り入れています。
ブルックラディにとってウイスキーは、蒸溜所だけで完成するものではありません。
どこの畑で育った大麦なのか、どのような気候のもとで実ったのか、そして誰が育てたのか──。
そうした背景までもが、一杯のグラスに表れると考えています。
閉鎖から復活へ。ブルックラディ第二章の始まり。
1881年創業のブルックラディ蒸溜所は、100年以上にわたりアイラ島の歴史を見守ってきました。 しかし1994年、ウイスキー業界の長期低迷の影響を受け、生産停止に追い込まれます。設備は止まり、人も去り、蒸溜所には静かな時間だけが流れていました。「この蒸溜所は、もう終わった。」そう思われていた2001年、ワイン商のマーク・レイニエ、経営者のサイモン・コフリン、そして伝説的マスターディスティラーのジム・マッキュワンによって、ブルックラディは奇跡の復活を遂げます。彼らが目指したのは、単なる蒸溜所の再建ではありませんでした。“ウイスキー業界の常識を変えること。”大量生産ではなく土地の個性を、そして造り手や畑の物語を大切にするウイスキー。この哲学は、再建から20年以上を経た現在も、ブルックラディの核として受け継がれています。

140年以上前の蒸溜設備が、いまも現役。
ブルックラディを訪れると驚くのは、創業当時から受け継がれる蒸溜設備が、今なお現役で稼働していることです。1881年の創業時から使われる蒸溜設備は、大きな設計変更を加えることなく大切に受け継がれています。もちろん効率だけを求めるなら、新しい設備へ更新するという選択肢もあるでしょう。それでも彼らは伝統を選びました。長年受け継がれてきた設備が生み出す、ブルックラディならではの酒質。それもまた、彼らが守り続けたい“個性”なのです。

アイラ島にすべてを残す。
ブルックラディでは、蒸溜だけでなく熟成からボトリングまで、すべての工程をアイラ島で行っています。雇用も、技術も、価値も、この島に残す。その想いのもと、地元の農家と協力して大麦を育て、古代品種「ベア・バーリー」の復活にも取り組んでいます。また、環境負荷の低減や地域社会への貢献など、持続可能なウイスキー造りにも力を注いでいます。こうした取り組みが評価され、2020年代にはスコッチウイスキー蒸溜所として初めてB Corp認証を取得しました。「美味しいウイスキーを造ること」と、「地域や地球の未来を守ること」。その両立こそが、ブルックラディというブランドの哲学なのです。



一つの屋根の下に存在する、4つの個性。
ブルックラディ蒸溜所を語る上で欠かせないのが、
「Under One Roof(一つの屋根の下)」というユニークな存在です。
多くの蒸溜所は、一つのスタイルのウイスキーを造り続けています。
しかしブルックラディは、同じ蒸溜設備、同じ職人たちの手によって、
まったく異なる4つのスピリッツを生み出しています。
「アイラ島を、そのまま味わうために。」
「アイラらしさ」に、新しい答えを。ブルックラディは、単にノンピートを掲げるために生まれたブランドではありません。表現したかったのは、畑を吹き抜ける潮風、土壌が育む大麦、そして蒸溜によって引き出される繊細な果実味。煙の向こう側ではなく、土地そのものに目を向けたアイラモルトです。10年という歳月を経て、華やかな果実香と麦芽の甘み、そしてアイラらしいミネラル感がゆっくりと調和していきます。 華やかさの中にある、静かな力強さ。ブルックラディ ザ・クラシック・ラディ10年は、「アイラらしさ」の新しい答えを示す1本なのです。

「アイラモルトの伝統を、現代に受け継ぐこと。」
ブランド名は、蒸溜所のほど近くにある港町「ポートシャーロット」に由来。かつて島の人々が暮らし、ウイスキー文化を育んできたこの地への敬意が、その名には込められています。約40ppmのピートを使用しながらも、目指したのは単なる力強さではありません。古くから受け継がれてきたアイラモルトの個性を、現代の技術と哲学で磨き上げること。それがポートシャーロットというブランドの役割です。 ポートシャーロット・10年は、伝統を守るために進化を恐れず、アイラモルトの過去と未来をつなぐスタンダードとして造られています。

「世界で最もヘビーピーテッドなシングルモルト。」
それまでの常識を大きく塗り替えるフェノール値は、瞬く間に世界中の話題になりましたが、「ピートは、強さを競うためのものではない。どれほど高いフェノール値であっても、ウイスキーは繊細で、エレガントで、美しくあり続けられる。」その可能性を追求することこそが、オクトモアというブランドの使命です。17.1は、その哲学を最も素直に映し出すシリーズの基準となる一本。蒸溜所が思い描くオクトモア本来のスタイルを表現しています。ピートの奥に広がる、驚くほどの調和と気品。限界へ挑みながらも、美しさを決して失わない。それが、オクトモアが20年近く追い続けてきた哲学であり、17.1はその現在地を示す1本なのです。

「アイラ島で飲まれる唯一のジン」
アイラ島の自然の恵みを存分に受け、のびのびと育ったハーブやスパイスたち。メンソール、アップルミント、レモンといった爽やかなものから蜂蜜、ココナッツといった甘さを伴ったものまで、使用されたのは厳選した全31種類のボタニカル。手作業で採取されたボタニカルは通常の3倍の時間をかけて蒸溜することにより、複雑で奥深い味わいが生み出されます。 季節の変わり目には少しいつもと違う気分を体験してみたくなりませんか。ザ・ボタニスト ジンの繊細で華やかな風味で特別な気分をお楽しみください。


ADAM HANNETT - アダム・ハネット(マスターブレンダー)
アイラ島出身のアダム・ハネットは、2004年の入社以来、伝説的職人ジム・マッキュワンの愛弟子として蒸溜から熟成まであらゆる工程を修得しました。2025年にマスターブレンダーに昇進し、現在は「ブルックラディ」「ポートシャーロット」「オクトモア」という3つの主要シングルモルトの製造全般を統括しています。また、アイラ島の野生ボタニカルを使用した「ザ・ボタニスト」ジンの革新も担う、蒸溜所の未来を象徴する造り手です。