第13回 サクラアワード2026

サクラワインアワードは、2014年から開催されている日本の女性ワインプロフェッショナルがブラインドテイスティングで世界のワインを審査する国際的なワインコンペティションです。その審査会大阪会場を訪れ、審査員の方々にインタビューしてきました。
真剣な表情で香りや味わいを見極める姿が印象的でした。今回、評価のポイントや審査への想いなど、貴重なお話を伺うことができました。
サクラアワードとは?
審査は5名1グループで行われ、ブラインドテイスティングし、それぞれ100点満点で採点。採点結果の点数にて賞が決まります。



今や世界的に知られる「サクラアワード」。名称に込められた想いや狙いは?
「桜」は日本を象徴する花であり、女性のシンボルでもある。そして何より、審査結果が出る2月末から3月に「桜の開花に合わせてキャンペーンを展開してほしい」というマーケティング上の狙いもあり、「サクラ」の名を使用しました。
海外の生産者にとっても、日本を最もイメージしやすい最高のニックネームになったと思っています。
女性の審査員のみで行う審査の強みは?
女性は日常的に台所に立つことが多く、調理や味の構成を肌で理解している方が多いです。
「この1本のワインで、餃子から酢豚までカバーできるかしら?」という、家庭の現実的な視点で審査ができる。
これは、知識だけのヒエラルキーでは測れない、生活者に寄り添った強みなんです。
ユニークな料理との相性審査。こだわりの理由は?
世界中のコンペティションの中で、「ペアリング賞」を設けているのはサクラアワードだけです。
和食はもちろん、家庭で日常的に食べる中華やアジア料理との相性を重視しています。
ワインは主役ではなく、料理を美味しくする「しなやかな脇役」であるべきだと思っているんです。
高価なワインや有名な産地が良しとされる風潮。それに一石を投じ続ける背景とは?
「高いから良い」という固定概念からは脱却したいと思っています。
もっと自由に、オンザロックや水割りで楽しんだっていいんです。
また、シャルドネなどの主要品種だけでなく、世界中に5,000種以上ある固有品種を忖度なしに発掘したいです。
例えば、アルゼンチンの「トロンテス」。
13年前、現地でも注目されていなかったこの品種を私たちが最高賞に選んだことで、一つの潮流が生まれました。
日本の女性の味覚は、世界を変える力を持っているんです。
これまでの歩みの中で、特に印象的なエピソードは?
毎年ドラマが生まれます。ドイツで日本人女性醸造家が手掛けたワインが最高賞を受賞したり、アメリカの20代の若手女性アシスタントがベストワインメーカー賞に選ばれたり。彼女たちの才能に光を当てられるのは、このアワードの誇りです。
立ち上げ当初は、一部で厳しい目も。信念を貫いてこられたモチベーションは?
「女性の遊びですぐ終わる」と冷ややかに見られることもありました。不眠不休の準備作業や、世界中の生産者にコンセプトを理解してもらう苦労は今も絶えませんが、それでも続けてきたのは、「日本の食文化を楽しくしたい」という一心からです。

日本女性の感性で選ぶ「サクラアワード」。現場で審査にあたった3名のプロフェッショナルに、その舞台裏と独自の魅力を語っていただきました。

実際に審査を終えてみて、いかがでしたか?
山口さん 私は今回で3回目ですが、年々熱量が高まっていると感じます。「女性だからこそ、このワインをどう食卓に並べるか」という会話が自然と生まれるのが面白いですね。
宮崎さん プロとして情報の制限は時に難しいです。特にノンアルコールやフレーバードワインでは、使用果実のヒントがない中での審査は、まさに「答え合わせ」からのスタート。でも、チームでディスカッションを重ねることで、自分一人では気づけなかった「ワインのセールスポイント」が見えてくるんです。
森下さん 私は3年ぶりの参加で緊張もありましたが、リーダーとして「酒販店」と「飲食店」という、立場の違うプロの意見をすり合わせるプロセスが非常に興味深かったです。販売ベースの方と、現場で提供する私の視点。その「落とし所」を探る時間は、まさに新しい発見の連続でした。
数あるワインコンクールの中で、サクラアワードの「信頼性」をどこに感じますか?
森下さん このアワードには「先見性」があります。10年ほど前、まだ日本で無名だった産地の安価なワインがダイヤモンドトロフィーを受賞し、後にセミナーなどでその価値が紹介されるようになりました。私はサクラアワードですでに知っていましたので、それ以来、このアワードは間違いないと確信しています。
宮崎さん 現場に立つ者として、この「サクラアワード」には絶大な信頼を置いています。自分たちがどれほど悩み、真剣に点数をつけたかを知っているからこそ、店頭でサクラアワードの受賞商品を見かけると「これは信頼できる」と自信を持って言えるんです。
山口さん 評価の幅広さも魅力です。「一つの型」に囚われず、多様なスタイルを認めてくれる。それが、私たち造り手にとっても「次はこういうスタイルに挑戦してみよう」という柔軟な発想に繋がっています。
ワインを楽しむ消費者の皆さんに、ご提案やお伝えしたいことはありますか?
宮崎さん ホテルでは定番ワインに偏りがちですが、アワードを通じて得た「味わいのボキャブラリー」をお客様への提案に活かしていきたいです。特に、酸とミネラルが料理に溶け込むような、現場で使いやすいワインを伝えていければと思います。
森下さん 私自身、一人の消費者として、スーパーの棚でもこのシールを探してしまいます。1,000円〜2,000円台のワイン選びにおいて、これほど心強い指針はありません。お酒が強くない方にとっても、香りや会話を楽しむツールとして、サクラアワードを役立ててほしいですね。
山口さん ワイン選びに正解はありませんが、サクラアワードが選ぶのは「日本の食卓を楽しくする」ワインです。まずは受賞商品に貼られているシールを目印に、自分だけの「美味しい」を見つける喜びを味わっていただきたいです。

▲サクラアワード審査の合間に紹介された 各テーブルのソムリエたち。
ラベルを隠されたワインを間違えずに注ぐ、 その確かな技術に思わず感嘆。

▲会場の様子。
白いテーブルに並ぶグラスと、集中した 表情の審査員たち。

今回の取材を通して感じたのは、サクラアワードへの「誇り」と、消費者に対する「誠実さ」でした。
プロが悩み抜き、ディスカッションを経て選ばれた1本。
そのメダルロゴシールには、ワイン文化を身近にしたいという彼女たちの熱い想いが込められています。